【映画】君たちはどう生きるか_初見レビュー【No.22】

レビュー

2023年7月20日に公開された宮崎駿監督の【君たちはどう生きるか】の初見レビューを記事にしました。
ネタばれを含む可能性がありますが、この作品は見る人によって感じ方が変わる映画だと思います。
僕はこう感じたという感想を書き留めたものですので気軽にお読みいただければ幸いです。

誰のための映画?

タイトルの『君たちはどう生きるか』について

君たちって誰を差すんだろうと考察しました。
鑑賞後の率直な感想としてはスタジオジブリのクリエイターやスタッフ、関係者だと思います。

理由はとても単純で作中の登場人物が後継者を求めるシーンです。
作中でこの登場人物がどのような事をしてきたかは、あまり描かれていませんが、
僕なりに解釈すると既にある世界を守り、新たに創造し、秩序を管理していたと思われます。

既にある世界が映画として、新たに創造とは映画を作ること。
秩序という言葉がふさわしいかは自信がありませんが、宮崎駿監督の作品にはぽさがあります。
唯一無二の監督っぽさ。宮崎駿という世界観の秩序。
ゆえに、宮崎駿監督が後継者を求める登場人物の写しとしてリンクしているんじゃないかと思いました。

受け継ぎはされたの?

この結果はネタバレになるので控えますが、そのシーンで意味深なセリフと数字が交わされました。

13コと3日。

スタジオジブリで宮崎駿監督が手掛けた(原作/脚本/監督のいずれかを担当)長編アニメーション映画の作品数はご存じでしょうか?

タイトルサブタイトル
(ポスターメッセージ)
公開日次作
期間
原作/脚本/監督
1天空の城ラピュタある日、少女が空から降ってきた…1986年8月2日原作/脚本/監督
2となりのトトロこのへんないきものは、
まだ日本にいるのです。たぶん。
1988年4月16日2年原作/脚本/監督
3魔女の宅急便おちこんだりもしたけれど、
私は元気です。
1989年7月29日1年脚本/監督
4紅の豚カッコイイとは、こういうことさ。1992年7月18日3年原作/脚本/監督
5耳をすませば好きなひとが、できました。1995年7月15日3年脚本
6もののけ姫生きろ。1997年7月12日2年原作/脚本/監督
7千と千尋の神隠しトンネルの向こうは、
不思議の町でした。
2001年7月20日4年原作/脚本/監督
8ハウルの動く城この城が動く。2004年11月20日3年脚本/監督
9崖の上のポニョ生まれてきてよかった。2008年7月19日4年原作/脚本/監督
10借りぐらしのアリエッティ人間に見られてはいけない。2010年7月10日2年脚本
11コクリコ坂から上を向いて歩こう。2011年7月16日1年脚本
12風立ちぬ生きねば。2013年7月20日2年原作/脚本/監督
13君たちはどう生きるか2023年7月14日10年原作/脚本/監督
Wikipediaより抜粋、編集。

今作、【君たちはどう生きるか】でちょうど13作品目です。
各映画の公開年の間隔も約3年と言えます。
(13作品の次作までの間隔を平均すると約3年)

正直、この数字と結果については鳥肌が立ちました。
そして、やはりそう思わざるを得ないのです。

これは引退を表明した宮崎駿監督が後継者とクリエイターに向けたメッセージであると

広告をしなかった訳(憶測)

先にお断りさせて頂きますが、これは僕の憶測です。

この映画は大衆の娯楽としてのものではなく、クリエイターや制作に携わるスタッフに残す
メッセージとして作られたモノ。

なので、大衆に向けた広告や宣伝は必要無い判断し出さなかったと思いました。

かと言って、一般の視聴者やファンをないがしろにしているわけではないことも強く感じます。
何故なら作品自体がThe ジブリであり宮崎駿監督の作品集だからです。

僕を含め、3人で映画を見ましたが、視聴後の感想がそれぞれバラバラでどれも理解できるものでした。
つまり、この映画は見る人がジブリと宮崎駿監督作品をどこまで知っていてどのように見て来たかで感じ方が変わる映画だと思います。

その議論と言いますか、それぞれの抱いた感想や印象深いシーンの手綱をわざと放している工夫が
情報量を極限まで減らしたポスターのデザインやサブタイトル(ポスターメッセージ)を書かれないことだと感じます。

例えば、僕が宮崎駿監督作品で一番好きな【紅の豚】のポスターには、主人公のポルコとヒロインのジーナがこちらを向き、サボイアS. 21試作戦闘飛行艇が夕焼けか朝焼けを飛んでいます。
サブタイトルはカッコイイとは、こういうことさ。です。
ポスターのビジュアルと書かれるメッセージでこの映画を一言で言うとが集約されます。

ポルコ・ロッソは豚であるがカッコイイ

広告として映像(CM)を作成すると映画の印象も集約されます。

飛ばねぇ豚はただの豚だ。

映画:紅の豚より

では、今作【君たちはどう生きるか】はどうでしょう?
ポスターにはタイトルのみ。しかも謎の鳥にホワイトバックです。

どのシーンも間違いなく素晴らしい映像でした。
でも、名シーンの印象は、見た人それぞれで違いませんか?

そして、そのシーンの話は「ジブリのあの作品のこのところ」と過去の作品と紐づいた話題になっていくように感じます。
(面白いことにジブリより前の宮崎駿監督作品を知っている場合はそれも含まれます)

ある意味で、この【君たちはどう生きるか】自体がジブリ作品集でり、宮崎駿監督の作品集としての最大な広告となり得るかもしれないと僕は思います。

The ジブリであり宮崎駿監督の作品集

多少のネタバレが多くなるかもしれません。

ジブリ作品や宮崎駿監督の作品と言えば?

・キャラクターのデザイン
・音楽
・背景(空、海、水、緑、雲)
・色
・動き
・ご飯の食べ方
・魔女(魔法使い)
・飛行機
etc.etc

書き出したら切りがなさそうですが共通認識が持てるほど確立されているものだと思います。

今作は随所に今までのシーンを彷彿とさせるカットや動きが散りばめられています。
類似やオマージュをざっくり当てはめると以下のような感じです。

始まりの場面
・【風立ちぬ】:移動の描写、火事や街並みの描写
・【未来少年コナン】:戦車
疎開先の場面
・【千と千尋の神隠し】:建物の雰囲気
・【借りぐらしのアリエッティ】:庭の草木や背景
・【となりのトトロ】:木のトンネル
下の世界の場面
・【ハウルの動く城】:魔法の表現
・【もののけ姫】:緑と森。白いキャラクター
・【崖の上のポニョ】:海、死の世界。魂の世界
物語の終盤の場面
・【天空の城ラピュタ】:蔦を登るシーン
・【千と千尋の神隠し】:ここに答えが無いシーン
・【カリオストロの城】:武装したお父さんが銭形
他にもまだまだありますし、繰り返し見ればもっと見つかると思います。
それほど、類似点、パロディー、似た雰囲気を感じました。

見る世代によって変わる着眼点と感想

ジブリ以前の宮崎駿監督作品を知っている世代からは【未来少年コナン】や【カリオストロの城】のあのシーンや書き方だよねと感想をいただきましたし、ジブリ作品にどっぷり浸かった人からはオマージュやパロディーと言ったシーンの感想を多く聞きました。

もし仮に全くジブリを知らない世代が作品を見たらどうなるか想像すると、おそらく逆輸入のような現象が起きる気がします。

君たちはどう生きるか】を中心として、各作品の類似点を発見していく。
また、金曜ロードショーなどでジブリ作品に触れた時など、紐づけ的に【君たちはどう生きるか】を思い出すのかなと感じました。まさに広告と一緒です。
印象深いシーンがずっと心に残る。
この【君たちはどう生きるか】はジブリや宮崎駿監督作品のそういった心に残ったシーンがふんだんに使われているため、最高にクオリティが高い作品集に仕上がっていると思います。

スタジオジブリへのアンチテーゼ

今までのジブリ作品にはなかった要素も思い出してみました。

可愛いマスコット的なキャラクター
ジブリのキャラクターと言えば本当に数多くのマスコット的キャラクターがいると思います。
その中でランキングを付けると、おそらく上位に入ると個人的に思っているのが『まっくろくろすけ』です。
(【となりのトトロ】と【千と千尋の神隠し】に登場します。本来の名前が『ススワタリ』だそうです)
黒く丸いふわふわな印象の彼らですが、今作では白くて丸いかわいいキャラクターが登場します。
もののけ姫】の『コダマ』より、『まっくろくろすけ』要素の方が強いと僕は思いました。
その白くて丸い可愛いやつのシーンで「あたりまえ」というセリフが飛び出します。
輪廻転生を彷彿とさせるシーンで、魂の循環。DNAの二重螺旋構造を思わせる描写が書かれています。

食事のシーンに「まずい」と発言する主人公
ジブリの食事シーンは本当においしそうに大口を開けて、見栄えや汚れなど気にせず、ガツガツ食いつく動作が印象的です。
もちろん、今作にはそういったシーンはありますが(パンにバター、ジャムをたらふく塗って食べるシーン)食事に対して「まずい」と言った場面は過去作では思い出せませんでした。
ですので、僕の中ではより印象深く覚えているのかもしれません。

『おわり』と表示されない最後
ジブリ映画の最後って『おわり』って書かれてますよね?
多分、ほとんどが『おわり』で終わってる気がするんですが、今作はエンドロールが終わっても
おわり』という文字が確認できなかったと記憶しています。

(もし、入ってたらごめんなさい)
これも何か意図があっての事なのでしょうか?
もし、一般視聴者に対する映画であった場合。
おわり』と表示することで作品が終わったことを意識させることができますが、おわり』の表示がないと『次』を期待します。
本編の最後のセリフは「帰った」です。
終わりがなく、帰った。どこに?
過去作の印象。オマージュ。パロディー。ベクトルの方向はどこを差しているのでしょうか。
そして、もう一つ。
クリエイター、関係者に対しての映画であった場合。
おわり』なんて言葉を使わずとも、本編で語られている。
初めからそのような作品だから。

こじつけが過ぎる考察だと思います。
ただ、こういう考察要素を残していることも映画の意図かもしれません。
(庵野秀明監督のヱヴァンゲリヲンのような)

3.11の要素(これは間違いなく考えすぎ)

映画冒頭はサイレンから始まります。
人波を掻き分け、母の元へ向かう主人公。
失った悲しみに癒えない心。
母の声、姿、フラッシュバック、悪夢、うなされ。

何よりそう感じさせた要素が2つあります。

水の表現
のまれる、沈むといった水の表現がとても強く印象に残っています。
登場人物と水の接触に関する書き方がとても丁寧に描かれていた気がするのですが
そう感じたのは僕だけでしょうか。

アオサギの発言
アオサギが「母に合わせてやる」と主人公を誘うシーンで会話のやり取りがあります。
その時の発言「〇体を見てないだろ
これは、どう解釈すればいいんだろう。
間違いなく、考えすぎということはわかりますが刺さる人には深く刺さる言葉なのかなと感じました。

最後に

君たちはどう生きるか】は、今後も多くの人に見られ、多くの心を揺さぶり、考えさせ、タイトルの通り、どう生きていくのべきなのかを問いてくると思います。

映像的な面白さもふんだんにあり、一度より二度、三度と繰り返し見ることで、より深く楽しく考察することができると思います。
(7人のおばあちゃんと棺の女性が白雪姫のオマージュ?とか。作中にグリム童話の本が描かれていましたし(笑)
扉の数字やインコが持っていたプラカードにも何か意味があるのかもしれないと思っていましたがさすがに忘れました。記憶力の無さです)

見た回数やその時の感情によって、この映画から何を感じ取れるかが変わると思い、
初見時の今の感想をこうして書き留めてみました。

他の考察やジブリ側の公開情報。
宮崎駿監督が作品に関しての公開している情報など、この感想を書くまで一切目を通さない、調べないと決めていました。

(それ見たら初見の感想としてにノイズが入る気がして……)
なので、この記事の前半部分なんかはばっさり否定されてるかもしれません。
ただ、僕はこう思う。こう思った。それだけです。

君たちはどう生きるかと問えるほど、人間出来ていませんが、
自分はこう生きていると言える人間になれるよう、努力を重ねているつもりです。

一視聴者で、物心つく前からビデオテープが擦り切れるまでジブリ作品を見続けてきた者ですが
宮崎駿監督をはじめ、スタジオジブリのクリエイターさんやスタッフ、関係者の方々には毎回素晴らしい作品を世に送り届けて頂いていることに深く感謝しております。

これからの引き続きスタジオジブリの作品と共に生きていくでしょうし、ジブリパークにも行きたい。
君たちはどう生きるか】も繰り返し見に行く予定です。

なんか、勝手に一つの節目と思っちゃっていますが、そんな事、無いなら無いで全然良いですし、寧ろまだまだ宮崎駿監督の作品を見続けたいと思っています。
わがままですかね?

お疲れさまでした。
そして、監督の次回作に期待です。

皆さんも素敵なジブリライフをお過ごしください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました